不動産業界には専門的な用語が多いです。しかし、不動産投資家たるもの、ある程度の用語は知っておきたいものです。
用語を知っていれば知っているだけ営業マンとスムーズに話せますし、不動産に関しての知識も増えていきます。
そこで今回は、不動産投資家が知っておくべき用語について、「管理」に絞って解説します。
管理は、どの不動産を運用するときにも知っておくべき用語なので、今回解説する用語やメリット・デメリット、注意点は理解しておきましょう。
不動産投資の管理形態の名称
まずは、管理形態の名称である以下の用語を理解しておきましょう。
- BM : 「Building Management」
- PM : 「Property Management」
- AM: 「Asset Management」
- FM : 「Facility Management」
上記は後述する管理コストにも関わることです。概要だけでも良いので、それぞれの管理の違いは認識しておきましょう。
BMとは?
BMのBは「Building」という意味なので、ビルや商業移設などの管理全般のことを指します。
個人の不動産投資家でビルを所有することは少ないですが、REITや不動産小口化商品などに投資すると良く出てくる言葉です。
BMは、ビルオーナーに代わり以下のようなことを行います。
- ビルの外観と内装の清掃
- ビル内の設備の管理・点検
- 警備全般
このように、ビルのハード面(建物関連)の管理をするのがBMの仕事です。
PMとは?
PMとは、建物空室募集や案内などの賃付け全般、賃借人からの賃料回収・トラブル対応などを行います。
ほかにも、オーナー向けに税務相談会を開催することもあります。BMがハード面なら、PMはソフト(人に関することなど)面の管理といえます。
AMとは?
AMのA(Asset)は「資産」という意味ですが、不動産業界でいうAMは「不動産の運用業務」全般のことです。
要は、「自分の物件(資産)を○○会社にAM委託する」という使い方になります。個人投資家の中では、やはりREITや不動産小口化商品に投資する際に良く使われる言葉になります。
もしくは、一棟の大規模な不動産を所有していると、管理を全て不動産会社のAM部門に委託します。そして、AM部門からBMやPMに管理をさらに委託するという流れが一般的です。
FMとは?
FMのF(Facility)は直訳すると「施設」という意味です。不動産業界でいうFMは、施設にまつわる全ての不動産を指します。
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不動産用語の長期修繕計画とは?
次に、「長期修繕計画」という用語については以下を理解しておきましょう。
- 長期修繕計画の概要
- 長期修繕計画を知っておくべき理由
- 長期修繕計画の見極め方
この計画は主にマンション投資の際に知っておくことです。アパートで長期修繕計画を綿密に策定するケースはあまり多くありません。
なぜなら、アパートは木造か軽量鉄骨のため、築年数によって物件の劣化具合が大きくバラけるからです。
長期修繕計画の概要
長期修繕計画とは、その名の通り長期的スパンで建物の修繕計画を練ることです。たとえば、屋上の防水修繕や外壁の修繕、共用廊下の吹付の塗り替えなど、共用部全般の修繕を計画します。
なぜなら、共用部の修繕は入居者がお金を出し合って修繕するからです。そのため、予めしっかりと計画を策定しておかないと、入居者同士で意見が違ってきてしまうというわけです。
長期修繕計画を知っておくべき理由
長期修繕計画について理解するべき理由は以下です。
- 管理の質をチェックできる
- 資産価値の維持をチェックできる
- 修繕積立金の上昇率が分かる
まず、長期修繕計画によって管理の質をチェックできます。また、内容によって資産価値が保たれる建物かどうかのチェックもできます。さらに、修繕計画によって今後の修繕積立金の上昇率が分かるのもメリットです。
その金額は全て長期修繕計画によって決まっているので、長期修繕計画をチェックすればランニングコストの上昇リスクが分かります。
長期修繕計画の見極め方
長期修繕計画の見極め方は以下の通りです。
- 30年スパンで立案しているかどうか
- 細かな項目まで策定しているか
30年スパンで立案しているかどうか
長期修繕計画は、主に20年、25年、30年のいずれかで立案されています。これは、長いほど精度の高い計画といえます。
その工事を加味してしまうと修繕積立金の上昇率が高くなるので、20年のスパンで立案する管理会社もあります。しかし、結局数年後にエレベーター工事の分も加味して修繕積立金が上がるケースがあるので、最初からそれらを加味している30年スパンが理想です。
細かな項目まで策定しているか
後は、細かい箇所まできちんと計画を策定しているかです。こればかりは、いくつかの修繕計画を見せてもらわないと分かりません。
そのため、興味がある不動産の長期修繕計画は見せてもらった方が良いでしょう。いくつか見比べれば、項目の少ない・多いは判断できるようになります。
不動産用語の自主管理とは?
次に、「自主管理」という用語については以下を理解しておきましょう。
- 自主管理の概要
- 自主管理のメリット
- 自主管理のデメリット
自主管理とは、自ら建物管理することです。つまり、上述したBM,PM,AM,FMを利用せず、全て自分で管理業務を行います。
実際は、一棟のマンション・ビルで自主管理するのは不可能といえます。一方、小規模のアパート経営や区分(一室)マンション、戸建などの賃貸経営は自主管理して管理費を削ることは可能です。
ただ、個人では難しい「賃借人の募集」や「契約行為」だけは依頼した方が良いでしょう。
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不動産用語の管理コストとは?
さて、さいごに「管理コスト」という用語を解説します。管理コストは管理にまつわる全てのコストのことですが、東京都でワンルームマンション投資をする人は特に気をつけましょう。
というのも、東京都ではワンルームマンションの建築を抑制するために、建築に関して規制が多いからです。
たとえば、ワンルームマンション建築時には以下の義務があります。
- 近隣住民を対象とした説明会の開催
- 工事内容の説明
- 近隣住民に配慮した建築
そもそもワンルームマンション規制ができた背景は、ワンルームマンションの入居者は地域コミュニティの参加意欲が低く、ルールを守らないことが多いからです。
そのため、上記のような規制ができ、近隣住民との紛争を未然に防ぐ狙いがあります。
ただし、近隣住民の反対が強ければ近隣対応業者などを雇うケースもあります。そうなると、一時的な管理コストが増大します。
また、近隣との取り決めで「目隠しルーバーを付ける」や「ゴミ置き場に脱臭機能を設置する」など、建築内容が変わってくることもあるのです。そうなると管理コストだけでなく建築コストも上がってしまうので気を付けましょう。
不動産投資家が知っておくべき用語についてのまとめ
このように、不動産投資家は上述した用語の概要を知りましょう。しかし、概要を知っているだけなく、それぞれ注意点がある用語もあるので、それも一緒に理解することが重要です。不動産会社に近い知識を持っていることで、投資に成功する確率は確実に上がります。